2004/01/07 (水)

● 十年前に読んだはずだった・・・。(沢木耕太郎「地図を燃やす 〜路上の視野3」 解説(新井敏記)より)

彼(沢木)は続けた。
「朝六時から七時の間に起きる。どんなに疲れていようとも。そして一時間から二時間、TVを一緒に見たり・・・・・・九時までの間は娘と共にいる。娘はもう三歳になった。七月が彼女の誕生日なんだ」
 僕(新井)は頷くばかりだった。
「夜、もしその時家にいれば、眠る時は彼女におはなしを聞かせてあげる。娘がいう、『きょうは、〜のおはなしをして』。その時僕は即興でおはなしを考える。意外なストーリー・テラーとしての自分を発見する。赤い長靴のおはなしは三部作になる。そしてきまって娘は眠くなると、『桃太郎のおはなしをして』っていう。それが彼女のもっとも安心するおはなしなんだ。ドンブラコッコ、ドンブラッコ、その音節がとても心地良く響くものらしい・・・・・・」

『パリ・テキサス』のこんな一節がある。トラヴィスと弟ウォルトの会話だ。

 トラヴィス「どのくらい居なかった?教えてくれ」
 ウォルト「四年だ」
 トラヴィス「四年が長い間か?」
 ウォルト「ああ、ちっちゃな男にとってはな。人生の半分だよ」
 トラヴィス「人生の半分か」